2022年3月13日
「受難~美化をせず共感へ~」 棚谷直巳牧師 (要旨)
マルコによる福音書14章32~42節
新共同訳聖書の翻訳もされた佐藤研さんは「(ユダヤ戦争の)難民者によってイエス伝承と資料形成が行われた」と指摘します。心裂ける想いで故郷を離れた人々こそが福音を伝えていたのでした。人間の苦難は周囲から「神様のご計画だ」と簡単に言えるものでありません。生きる嘆きや痛みは自分自身の体験として受けることで初めて、他の人に共感する力となるからです。3.11のテレビ番組で、避難できなかったひきこもりの若者の家族が、葛藤の末に居場所づくりを始めた話が放映されました。「良いことだからする」ではなく、心の葛藤と向き合いながら始められたことに、人間の尊厳を思いました。